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ぐいぐい引っ張るのが管理職? 部下の自律を促すリーダーシップとは

リーダーシップがある=皆を引っ張ることができる、の誤解

受講者にリーダーシップがある人を連想させると、
さまざまな回答が寄せられますが
決まって「部下を引っ張っていってくれる」といった言葉が出てきます。
歴史上の人物で答えていただくと、必ずと言っていいほど
織田信長が出てきます。
ぐいぐい引っ張っていく、トップダウン型リーダーシップが
一般的なリーダー像と言えそうです。

これらの考えは間違っていません。
部下からすれば、まさに『頼れるリーダー』ということでしょう。

ただし、ぐいぐい引っ張ることだけがリーダーシップなのか?
という疑問は持つことが賢明です。

ものごとにはたいていの場合、プラス面だけでなくマイナス面があります。

強烈なトップダウン型の引っ張っていくリーダーシップを常に発揮すると、
指示系統もやることも明確なので、仕事は早く済みます。
しかし一方において、部下は考えなくてよい、判断しなくてよい、
という状況に慣れてしまいます。
自分で考えない、判断しない、言われないと動かない・・・、
といった部下を育成してしまうことに繋がるのです。

なでしこジャパンを優勝に導いた佐々木則夫監督に見るリーダーシップ

2011年、東日本大震災のあった年、
なでしこジャパンのワールドカップ優勝は、私たちを勇気づけました。
あのときの感動が忘れられない方は多いのではないでしょうか。

チームを監督したのは佐々木則夫氏。

彼の選手たちへの接し方は、とてもフレンドリーでフラット。
選手たちからは「則さん」と呼ばれていました。
監督を愛称で(しかも下の名前で)面と向かって呼べる師弟関係というのは、
その当時のスポーツ界では極めてまれだったのではないでしょうか。
厳格で上下関係を重視する親分肌、姉御肌監督であれば
コケにされている!と憤慨するかもしれません。
佐々木監督は、選手が自分に何を言っても安心な存在であることを
何よりも大事にしていたのでしょう。
不安のタネがあれば、それは試合に悪影響を及ぼします。
悪影響は早く取り除くことがベターです。
愛称で呼べる関係性であれば、そういったことが実現可能になります。
佐々木監督の接し方であれば、何かあってもすぐに相談できそうですが、
厳格すぎる監督には、悩みがあっても言いにくいものです。

それは、一般企業の上司・部下の関係性に置き換えて考えても同じではないでしょうか。

リーダーシップには4つのタイプがある

佐々木監督のように、選手(会社で言えば部下)から愛称で呼ばれても
安心安全な雰囲気を作ることを重視するリーダーシップ型は、
あきらかにトップダウン型とは違います。
そうです。リーダーシップには、いくつかの種類があるのです。
簡単に説明すると、以下の4つがあります。
・専制型(指示命令で部下を動かす)
・統合型(人と仕事両面に配慮しながら目標を達成する)
・温情型(友好的な雰囲気を重視し、メンバー参画促進、援助的行動をとる)
・放任型(部下の自主性に任せる)

各タイプのリーダーシップを使い分けよう

大切なのは、各リーダーシップの特徴を知り、
部下の現在の状況を正しく把握し、
その部下に最も効果的なタイプで接することです。

例えば新卒で入社したばかりのメンバーに対しては、
初めのうちは専制型リーダーシップで接することが多いでしょう。
しかしながら、新人だからと言って、何の考えもないわけではありません。
時には統合型で本人の意欲を上げ、自律へと導くことが大切です。

また、キャリアが長く自主的に仕事ができるメンバーであっても、
最近ミスが増えた、元気がない、など様子に変化がみられる場合は、
プライベートで何か問題を抱えているのかもしれません。
あるいは仲間とうまくいっていないのかもしれません。
そのようなときは、それまでの放任型から温情型へとシフトし、
そのメンバーに愛情をもって接することが重要です。

部下の自律を促すリーダーシップとは

グーグルは『プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)』で、
最も成果を上げるチームに共通する特性を調べたところ、
重要なカギは・・・・

『心理的安全性」

であることが判明しました。
つまり、どんなに突拍子もない考えであっても、
多くの人が指示してくれなさそうな考えであっても、
メンバーや上司から嘲笑されたり、叱られたり、呆れられたりすることはない、
本来の自分をさらけ出してよい、
という精神面での安全性です。

現在、日本でもダイバーシティインクルージョンが叫ばれるようになってきました。
しかしながら、日本の多くの会社では
今も同質性の高い一部の属性の人たちにより多くが決定されています。
そのような場所においては、
珍しい意見を言おうものなら排他的扱いを受けるのは想像に難くありません。
そして、そのような組織は今後、
グーグルのような成果を上げることは難しいと言えるでしょう。

これからのリーダーシップはぐいぐい引っ張るだけでなく
むしろその部分は極力抑え、
部下成長のためのリーダーシップタイプを発揮させたいものです。